今回は筆者が土地相続について、相続人でないにも関わらず、身内間の橋渡し役として20年以上説得や行動を起こしてきた忘備録になります。
亡祖父母の家が放置空き家になっていて、ご近所トラブルなどもあったりした中で大変な思いをしましたが、2024年に入ってやっと相続登記の所有者変更手続きをすることになりました。
その経緯をお伝えしたいと思います。
関連記事:管理せず放置空き家の後しまつ①〜相続登記の名義変更の難しさ
目次
猛反対していた母がやっと名義変更手続きに応じたきっかけ
日本は今、空き家問題の真っ只中にあり、年々増えていく放置空き家に対してようやく施策に乗り出しました。
それが2024年4月1日に施行された相続登記申請の義務化です。
令和6年4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。
- 相続(遺言も含みます。)によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。
- 遺産分割が成立した場合には、これによって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、相続登記をしなければなりません。
(1)と(2)のいずれについても、正当な理由(※)なく義務に違反した場合は10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の適用対象となります。
なお、令和6年4月1日より以前に相続が開始している場合も、3年の猶予期間がありますが、義務化の対象となります。不動産を相続したら、お早めに登記の申請をしましょう。
(※)相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の資料収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケースなど。
この施策が頑なに名義変更を拒否していた母が手続きに応じてくれるようになったきっかけになりました。
固定資産税を支払っている母の元に市からの手紙
弟である叔父から遺産相続の件でトラブルになっていた母は、亡祖父母の家の固定資産税の支払いも叔父に変更しようと思い所轄の役所に申し出しました。
役所の話だと母に説明しても理解してもらえなかったようで、後日文書を郵送したそうです。
その手紙には、「相続登記の所有者の名義変更をしなければ、固定資産税の支払いについての名義変更が出来ない」ことも含めて、相続登記の義務化されたことが書かれてあったらしく、これを読んだ母は名義変更の手続きにようやく応じてくれるようになりました。
正当な理由なく(例:多数の相続人がいるため資料作成や把握に日数を要する場合など)義務に違反した場合は10万円の過料などの罰則があることも文面に記載されていたこともあって、母は重い腰を上げたようでした。
この国の施策は、筆者にとってはプラスの風になったことは言うまでもありません。
放置している空き家は早く処分していく考え方にならなければならない
空き家になっても屋内外ともに整理整頓し、いつでも人が住める状態になるくらいしっかり管理が出来るのであればベストなのですが、たいていは放置されてどんどん傷みが生じ身内間やご近所とのトラブルの種になることがほとんどです。
時が経てば「所有者不明土地」になって厄介な存在になっている空き家が増加しているから、国の施策が打ち出されている背景があります。
空き家を管理できなければ、早めの段階で処分していく決断をしていく方が後々の得策になると思います。
例えばですが、誰も住まない家を放置していて家屋全体が崩れて、周辺の家を壊したりなど迷惑をかけてしまい余計にお金がかかることがある場合も発生するので、きちんと空き家について身内でしっかり話し合いをし整理しておくことをオススメします。
司法書士と打ち合わせをしアドバイスをいただく
法務局に提出するために必要書類をそろえることから始まります。
不動産に関する相続の必要書類の作成とかは、弁護士または司法書士になります。
弁護士は相続登記を業務として(または専門分野として)行なっていなければ書類作成などが難しい場合があるので、司法書士に依頼する方が早道です。
司法書士に依頼する
筆者の場合は、今回の空き家の地元にある不動産会社に先に相談したので、そちらから司法書士を紹介していただきました。
自分に合う司法書士の方が断然良いので、紹介していただいてすぐ電話で色々と話をしました。
空き家を処分するのに20年以上かかってしまった経緯を含め、諸々のことを相談し話をして、今回依頼した司法書士はじっくり話を聞いてくださり、適切なアドバイスをしていただくことができたので契約に至りました。
さまざまな性格の司法書士がいますので、依頼する時にはじっくり話をして「本当に親身になって行動していただける方なのか」を判断したら良いと思います。
(余談話)個人で申請出来るのか
個人で(いわゆる自分で)行なうことも不可能ではありませんが、正直いって書類をそろえるための時間と労力をかけ、そして不備なしに整えるのは並大抵のことではありません。
相続登記の所有者名義変更に係る被相続人を含めた戸籍謄本や土地(建物も)登記の抄本など、調査し確認して全てそろえることが重要になります。
知人で裁判所に勤務している人から聞いた話ですが、個人で作成して一発で申請が通った方はほぼいないそうです。(登記漏れの不備がほとんど)
個人で作成した方が弁護士・司法書士にかかる費用を節約できますが、それなりに大変なので筆者は費用がかかっても良いと思います。
司法書士の料金は所有者になる叔父に請求
今回依頼した司法書士の申請手続きに関する料金は約15万円でした。
相続登記の業務の料金に関していえば、だいたい10万円〜20万円以内であることがほとんどということですからこの度依頼した料金は妥当と思います。
筆者の場合は叔父に司法書士から請求していただき、きちんと精算してもらいました。
母が「司法書士にかかる料金は絶対支払いません」と言うと分かっていたので、先に叔父に話を通してスムーズにいきました。(後日母へ司法書士への依頼料の支払いを伝えましたが、案の定支払う意思が全くありませんでした)
相続登記の名義変更に難儀しても伝え続けることが必要
亡祖父の遺産相続から始まって相続人である姉弟が「争族」に発展してしまっているので、橋渡し役として直接の相続人でない孫に当たる筆者が相続登記に関して色々と動いているのですが、相続登記の名義変更がまだ未定になっている時期からずっと「亡祖父の家を管理できなかったら処分しなさい」と言い続けてきました。
誰かが言わなくなると、相続人に当たる母も叔父も放置したままで物事が何も変わらず、高齢者なので万が一の場合は説得するできなくなる可能性があります。
本人たちはそれで良いかもしれませんが、それを受け継いでいく筆者や叔父の子どもたちにとってはとんでもない「負の遺産」であり迷惑な話なんです。
「放置空き家」という大変な問題に解決に向かって やっと一歩踏み入れて良かったと思いました。
さてここから名義変更の手続きに向けて、筆者も母に対しても叔父に対しても、司法書士の指示に従って行動していきました。
名義変更の手続きに印鑑証明書が必要になりますが、母に関してはそれからがとても大変だったのです。
これについては次回の記事でお伝えしますね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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